解説|『The Devil Wears Royal Oak』(ミアルバ小説)を書いた話

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解説|『The Devil Wears Royal Oak』(ミアルバ小説)を書いた話

あるいは、ロイヤルオークを着けた悪魔CEOがワンオペで香水会社を再建するまで

 🔽今回の小説のネタ元作品

映画『プラダを着た悪魔(The Devil Wears Prada)』(2006)

プラダを着た悪魔2』が2026年5月1日に日本で公開される、という話を聞きました。

 ならば、私も書かねばならない。

The Devil Wears Royal Oak』を。

📚小説更新🦅🌹GW最終日にトチ狂ったミアルバ小説。『プラダを着た悪魔』パロディ。ミランダ→ミーノス(男)、アンディ→アルバフィカ(女)😇ファッション業界話でなく、魚座の面々が開発した薔薇香水を投資会社のミーノスに買い取られ、アルバさんが出向してミーノスの部下として無茶振りされる話。ちょいちょいパロディネタ入れています。The Devil Wears Royal Oak | InkSanctumwww.pixiv.net/novel/show.p…

InkSanctum (@amagaishuka.bsky.social) 2026-05-06T09:36:20.555Z

 ……何を?

 自分でも一瞬そう思いました。
 でも仕方がない。タイトルが先に来てしまったのです。
 「プラダを着た悪魔」ならぬ、「ロイヤルオークを着けた悪魔」。
 「超有能」と言う意味でも”悪魔”的な上司ミーノス様が、オーデマ ピゲのロイヤルオークを手首に巻いて、香水会社から出向してきたアルバフィカ嬢を振り回す現代AUです。

 つまり、こうです。

 ファッション誌の悪魔上司ではなく、投資会社の悪魔CEO。
 アシスタントではなく、香水会社から来た開発者兼PR担当。
 プラダではなく、ロイヤルオーク。

 この時点でだいぶ様子がおかしい。

 

なぜロイヤルオークなのか

 ロイヤルオークは、ただの8桁超えの高級時計ではありません。

 この話のミーノスにとって、ロイヤルオークは「時間」「価値」「階級」「選ばれた者の記号」です。

 派手に宝石がついているわけではない。
 けれど、知っている人には一目でわかる。
 知識と資本と審美眼を持つ人間だけが、その価値を正確に理解する。

 知らなくとも、自ずと威容と格式が相手にソーシャルディスタンスを取らせる。

 ミーノス様に似合いすぎる。

 この男は、美しいものを愛でるというより、美しいものが人間の欲望をどう動かすかを見ています。
 美とは、癒しではなく武器。
 香りとは、安らぎではなく設計。
 時計とは、時刻を見るものではなく、他人に距離を取らせるための結界。

 最悪です。
 でも、有能です。

 

“コズミック投資会社グリフォン・キャピタル”

作中のミーノス様は、投資会社グリフォン・キャピタルのCEOです。

たぶん企業コピーはこうです。

グローバルを超え、
ユニバーサルを超え、
コズミックな投資を。

Beyond Global. Beyond Universal.
Cosmic Investment.

投資とは、未来を支配する技術です。

 

 何を言っているのか。
 投資会社なのか、冥界三巨頭の必殺技なのか。

 しかもこのグリフォン・キャピタル、世界的な投資会社のはずなのに、作中では創業者兼CEOミーノス様が現場に出すぎています。

 企画会議に出る。
 資料を作り直す。
 ブランドコンセプトを決める。
 撮影現場に立ち会う。
 モデルにダメ出しする。
 水没したスマホまで拾ってくる。

 完全にワンオペです。

 有能なDevilが一人で現場まで全部見ている。
 グリフォン・キャピタル、人材不足なのか。
 それともミーノス様が「自分の気に入った案件だけは全部見ないと気が済まない」タイプなのか。

 たぶん後者です。

 そして今回、彼が気に入ってしまった案件が、アルバフィカ嬢と彼女の香水「クリムゾンローズ」でした。

この小説では女性化アルバフィカを描いています。というか私のミアルバのアルバフィカはデフォルトで女性化気味です。このブログではもはや常識?!)

 

アルバフィカ嬢は「美」で人を癒したい

 アルバフィカ嬢は、学生時代の仲間とともに香水「クリムゾンローズ」を開発しています。

 彼女にとって、美とは、人を癒すものです。
 傷ついた人のそばに置けるもの。
 一人でいる人を、少しだけ孤独から救うもの。
 香りによって、誰かがもう一度立ち上がれるなら、それがいい。

 とてもまっとうです。

 一方、ミーノス様はそうではありません。

 彼にとって、美とは市場を掌握するものです。
 人の心を掴み、欲望を生み、価格を正当化し、ブランドの階級を作るもの。

 同じ「美」を見ているのに、まったく別のものを見ている。

 アルバフィカ嬢は「癒したい」。
 ミーノス様は「売れる」。
 アルバフィカ嬢は「届けたい」。
 ミーノス様は「支配できる」。

 この差が、この話の中心です。

 

でもこれは、LCミーノスVSアルバフィカの現代翻案でもある

 この話は『プラダを着た悪魔』パロディですが、実はかなりLC原作のミーノスVSアルバフィカの構図を意識しています。

 LCのミーノスは、アルバフィカの美貌を認識しています。
 しかし、その美を尊重するというより、侮り、弄び、支配できるものとして見ている。

 今回のミーノス様も同じです。

 アルバフィカ嬢の美の理由を見抜く。
 その価値を見積もる。
 広告に使えると判断する。
 本人の意思より、商品価値と市場効果を優先する。

 かなり嫌な男です。

 ただし、ただ嫌なだけではありません。
 彼の戦略は実際に当たる。
 クリムゾンローズは売れる。
 彼は美の力を本当に理解している。

 投資会社のCEOは伊達ではありません。彼は人の欲望とそこに発生する金を理解している。
 これは資本主義において極めて有効な戦略です。

 そこが厄介なのです。

 

アルバフィカ嬢の勝ち方

 ミーノス様は、クリムゾンローズを「誰もが憧れる、選ばれた女性の香り」として売ろうとします。
 アルバフィカ嬢自身をモデルにし、その美貌と経歴をブランドストーリーに組み込もうとする。

 アルバフィカ嬢にとっては屈辱です。

 美しいから利用される。
 美しいから物語にされる。
 美しいから、本人の意思より先に消費される。

 しかし彼女は、そこで折れません。

 撮影現場で、ミーノス様が作った広告の枠組みを完全には壊さず、そこに自分自身の痛みを差し込みます。

 美しく、強く、選ばれた女性の香り。
 そこに、「傷ついた人がもう一度立ち上がるための香り」という意味を加える。

 ここが、この話のアルバフィカ嬢の勝ち方です。
 彼女自身がそうやって傷つきながらも立ち上がってここまで来たからです。薔薇の香りはそんな彼女のいつもそbにあり、彼女を励ましてきた。それを彼女は香水にしました。

 力で圧倒される。
 相手の用意した戦場に立たされる。
 けれど、その戦場の意味を、自分の身体と表情で塗り替える。

 これが私の中では、現代ビジネスAU版のアルバフィカらしい反撃です。
 原作でいう毒薔薇の代わりに、ここでは香水と広告写真で勝つ。

 なかなか変な翻案ですが、本人はちょっと真面目です。

 

“1000万ドルの美貌”と広告モデル費削減

 なお、アルバフィカ嬢は作中で「1000万ドルの美貌」ともてはやされる設定です。

 つまり、ミーノス様の頭の中ではたぶんこうです。

開発者本人が美しい。
ブランドストーリーが強い。
広告モデルとして使える。
モデル費が浮く。
なお本人は怒るだろうが、広告効果としてはむしろ有利。

 せこい。

 悪魔なのに、経費削減まで考えている。
 魂を奪うだけではなく、モデル費も削る。
 これが資本主義のDevilです。

 ただ、ミーノス様は単にケチなだけではありません。
 アルバフィカ嬢本人でなければ、この香水の強さは出せないとも見抜いています。

 つまり、せこいけど正しい。
 腹が立つけど有能。
 最低だけど、目はいい。

 困った悪魔です。

 

スマホを噴水に投げる場面

 『プラダを着た悪魔』の映画版では、最後にアンドレアがスマホを噴水に投げ捨てます。

 これは、「私はこの世界から降りる」という決別の記号です。

 この話でも、アルバフィカ嬢はスマホを噴水に投げます。
 ミーノスの電話に出るのをやめる。
 彼の世界にこれ以上染まらないと決める。

 ただし、相手はミーノスです。

 終わりません。

 水没したスマホと新品のスマホを持って、彼は現れます。

 怖い。
 なぜ拾った。
 GPSか。

 そういうところだぞ、ミーノス様。

 しかも彼は言います。

これは仕事ではありません。

 上司と部下の関係は終わった。
 でも、個人的な関心は終わっていない。

 ここから先は、仕事ではなく、厄介な縁の始まりです。

 

これは日本人が見た「マンハッタンのキャリア映画」です

 この作品は、正確なニューヨーク描写を目指したものではありません。

 むしろ、かなり意図的に、
 日本人が映画や海外ドラマで見てきた“マンハッタンのキャリアもの”
 のイメージで書いています。

 投資会社。
 高層ビル。
 ダイナー。
 タクシー。
 噴水。
 ベーグル。
 高級時計。
 悪魔上司。
 走り回る若手女性。

 つまり、現実のNYというより、映画の中のNYです。

 たぶん英語圏の人が読んだら、

これはNYなのか?
日本の会社ものなのか?
ハリウッド映画のパロディなのか?
高級時計ギャグなのか?

となるかもしれません。

でも、それでいいのです。

これは、私の中にある「海外キャリア映画」の幻影を、ミアルバでやってみた話です。
しかもタイトルが The Devil Wears Royal Oak です。
正気で書く話ではありません。

 

小ネタです。でも、ちゃんとミアルバです

 この話は半日くらいで一気に書きました。
 時事ネタに乗った、かなり軽い小ネタです。

 でも、書いてみると意外と、ミーノスとアルバフィカの関係性がきちんと入りました。

 ミーノスは、アルバフィカの美貌の根源を見抜き、利用しようとする。
 アルバフィカは、馬鹿にされても折れず、自分の香水の意味を取り返す。
 ミーノスは、自分の計画を超えたアルバフィカに、仕事ではない関心を持ち始める。

 これは、私の書くミアルバとしてはかなり大事な流れです。

 支配しようとするミーノス。
 その支配の中で、想定外の花を咲かせるアルバフィカ。
 そして、その花にミーノス自身が惹かれてしまう。

 そういう話です。

 要するに、
 ロイヤルオークを着けた悪魔CEOが、香水会社の美しい開発者を広告塔にしようとして、最終的に自分のほうが興味を持ってしまう話
 です。

 たいへん迷惑ですね。

 でも、ミアルバなので仕方がない。

 

おわりに

 私の『The Devil Wears Royal Oak』は、映画パロディであり、香水ビジネス小ネタであり、LCミーノスVSアルバフィカの現代ビジネス翻案でもあります。

 美は人を癒すのか。
 それとも、人の欲望を支配するのか。

 そんな大きなテーマも入れようと思えば入りますが、今回はあくまで小ネタです。
 有能なDevilがワンオペで現場まで降りてくる、コズミック投資会社の話です。

 深く考えすぎると、こちらが負けます。

 ロイヤルオークの悪魔は、今日もたぶんどこかで、
 「これは市場価値がありますね」
 と言いながら、誰かの人生を広告戦略に組み込んでいます。

 そしてアルバフィカ嬢は、たぶんそのたびに怒っています。

 それでいいのです。
 この二人も私の書くミアルバも、そこから始まるので。🦅🌹

 

(了)


 

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