
それは、全力でくだらないことがしたかったから…
2024年10月、私はイラストの練習を始めました。
それまでのイラスト歴は、「中学生の2年間、毎日えんぴつでノートに漫画を描いていた」のみ。
それが何故急にイラストを描きたいと思ったかというと、主な理由は「パロディをやりたかったから」です。

どんなパロディかというと。
数年前に話題になった漫画『明日、私は誰かのカノジョ』の中に、無慈悲な担当ホストに高額シャンパンを入れての痛マイク(客によるマイクパフォーマンスで、担当ホストと恋愛関係にあると店内で暴露したり、担当ホストの他の客の悪口を言うなど、倫理的にたいへん問題のある発言をする)をキメる「ゆあてゃ」という女の子が出て来ます。
この「無慈悲な担当ホストに泣かされ、ろくでもない仕返しをする女の子客」というパターンを、パワハラ系上司のミーノスと、それでもミーノスに尽くしてしまう苦労過多の部下(副官)ルネでパロディにしたかった。
「私の担当〜 おばさんにも優しくできて しごできだなって思いましたー はるぴはー 靴下裏返しのまま脱がないでくださ〜い」
(『明日、私は誰かのカノジョ』7巻より引用)
というのが漫画のセリフです。
これをルネさんに、漫画のコマをそのままパロディにして言わせたかった。
「私の上官〜 毒薔薇にも優しくできて しごできだなって思いましたー ミーノス様はー 靴下裏返しのまま脱がないでくださ〜い」(私のパロディ案)
これはつまり、「毒薔薇(=アルバフィカ)」に構いすぎていて、仕事はルネに任せっぱなしの上司に対するルネのあてつけです。「毒薔薇なんか本来優しくする相手じゃないでしょ?」と怒りつつ、ついでに「私だって、ミーノス様の靴下を洗濯するような、仲なんですからね」と、ちょっとアルバフィカに対してジェラってる風ですねw
このネタがウケるかはともかく、大抵の私の「絵が描けたらいいのいに」の動機はこんな感じでした。
これはほんとに図解したい…! が極まった日
Xではときどき「フォロワーさんの推しを描きたい」などの、”イラストネタのフォーマット”が回って来ます。
その中に、「推しに制服を着せる」といったフォーマットがあったのでした。そこに「学生服」「ナース服」などの定番の制服があり。
「ナース服」と見た瞬間、私の頭の中にほとばしった雷光は、
「LCのグリフォンの冥衣は、昔のナース服に見える」
というものでした。
LCのミーノスが纏うグリフォンの冥衣は、山型のベッドパーツといい、裾広がりの膝丈スカートのような腰から下のアーマー部分といい、「ヘッドドレス」と「ワンピース」に見えるんですよ。
「見える、これ絶対見える!」
それが私の動機のすべてでした。
でも、言葉で言ってもこれは伝わりそうもない。
図解するしかない……!
こうして私は、CLIP STUDIO PAINT PROというお絵描きソフトをダウンロードしたのでした。
ちなみに、グリフォンの冥衣は激しく難しいので、あれから8か月経過した今も、全身図を描いたこともありません。正直挑戦してもいないです。
ただまあ、最初にミノムシのミーノスくん(アルバフィカの家の玄関にぶら下がって張り込んでいる設定。この記事のトップ画像)をMacbookの「メモ」アプリで描いた私が、今はクリスタ(CLIP STUDIO PAINT)を使い、年代物のiPad miniとApple pencilで次のような絵が描けるようになりました。

結局冥衣はもやもやしていますが。
イラストレベルはまだまだですし、冥衣を誤魔化しまくっている通り、人体も複雑な構造もろくろく描けません。苦手な構図もたくさんあります。
ただ、字書きにとって、「一目で世界観を伝える」のに、絵はとても適していると思っています。
先ほどの「痛マイク」のパロディ絵のように、文字にすると何百字というものが、絵なら一枚で伝えられる。
特に私のように、古典趣味であまり現代的な二次創作小説の書き方が得意でないタイプは。
かといって、イラストでフォロワーさんを獲得できるようなレベルでも、ないのですがね。
所詮はまだまだ、練習中です。
余談 なんで漫画描くの辞めたのか
えんぴつ漫画を描いていた同じ頃、私はオリジナル小説も書いていて、比較すると圧倒的に小説の方が気質に合っていたと思いました。
理由は、「同じ話を何度も何度も描く」という漫画の制作方法に耐えられなかったのです。
プロット、ラフ、ネーム、下書き、原稿──と、一コマ一コマを仕上げて行く繰り返しの行程が、かったるくてたまりませんでした。
これは根本的に「一つの絵を完璧に仕上げることが楽しい」という漫画向きの気質に合いません。その後、小説を書く楽しさは途切れることなく私の中で続いています。
イラストを描くのを完全に辞めてしまったのは、練習の中断で残念ですが、小説に打ち込めてよかったと思っています。
イラストも、正直、大人になってから再開したいまの方が、楽しく描けていると思います。
描いていて苦痛な漫画を描くより、長い長いブランクはあったものの、描きたいと思うものを描くことのほうが、私にとっては幸せなようでした。