ハイスペ男子の情緒崩壊が始まる──ミアルバにおけるミーノスの魅力

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はじめに:「インドクジャク」とミーノス様

 先日、X(旧Twitter)でとあるポストが目に留まりました。
 島根県の「松江フォーゲルパーク」の公式アカウントが、インドクジャクの写真にこんなキャプションを添えていたのです。

ランウェイ🦚のように颯爽と歩いていますが、実はメスにフラれて帰るところです。

 ──これを見た瞬間、私はひとつのキャラクターの顔を思い浮かべました。
 冥界三巨頭、天貴星グリフォンのミーノスです。そう、私の最推しカップリング「ミアルバ(ミーノス×アルバフィカ)」における、自己過信ぎみでハイスペックなのに、肝心なところであっさり負けてしまう男の象徴。

 この「フラれてランウェイを歩くクジャク」が、私のミーノス像をあまりにも的確に表していたため、今回はこのテーマでミーノスの魅力を書いてみようと思います。

  

「いけすかない男の情緒がめちゃくちゃになる話」が好きだ

 私の中のミアルバは、次のような物語構造を持っています。

「自己過信気味の有能男子が、ひと際きれいな相手にからかい半分で突撃し、盛大に振られる」
「……は? 振られた?この私が??」からの完全沼落ち。

 いけすかないけど超有能な男が、自信たっぷりに登場し、強さを見せるもの逆転敗北。
 そこから情緒がめちゃくちゃになり、「なぜ?」という問いに苦しみながら、じわじわと恋に落ちていく。


 ──私はこれを「クズ男再生ロマンス」と呼んでいます。

 少女漫画でも耽美BLでもありそうなパターンですが、この類型を「好き」と名指しして言語化している人は、意外に少ないんじゃないかと思います。私のミアルバ観は、まさにこの“言語化されたニッチ嗜好”に立脚しています。

  

LC原作のミーノスVSアルバフィカは、恋愛ものとして完璧なプロローグ

 原作漫画『聖闘士星矢 The Lost Canvas 冥王神話』(LC)におけるミーノスとアルバフィカの戦い──
 これは恋愛構造として読むと、あまりにも型が整いすぎています。

  • ミーノス:冥界三巨頭の一人、最強の力(power)を持ち支配欲が強く、自信に満ち、他を見下し、主導権を握る超ハイスペック男子。
  • アルバフィカ:絶世の美貌と孤高さを備えた聖域の最高位黄金聖闘士。外見から「可憐な花」と軽んじられる。
  • 一度は圧勝しかけたミーノスが、油断と侮りから逆転され、死の毒バラを受けて敗北

この展開、まさに「自信家が興味本位で突っ込んで、底知れぬ存在に打ちのめされる」──**恋のプロローグとしての“致命的な敗北”**が描かれているんです。

 ミーノスは、死の間際まで「なぜ負けたのか」が理解できず、感情を爆発させます。
 この「怒りの情緒崩壊」こそが、私の書くミーノスの原点。

  

そして『ミゼラブル』へ──恋と自己変革の物語としての続編

 私の書いた二次創作小説『ミゼラブル』では、このLCのプロローグを恋愛物語として継承しています。
 この主題を書こうとすると、どうしても4万字級の長編になってしまうのですが、『ミゼラブル』は比較的短い中編なので、事例としてご紹介します。

『ミゼラブル』あらすじ
 再会したミーノスは、300年の時を経てアルバフィカのもとへ──
 そこで目の当たりにするのは、かつてと変わらぬ美しさ、そして手の届かない孤高さ。
 勝手に沼に落ちていた自分、再会してからの情緒の迷走、それでも**「もう一度手を伸ばしたい」と願ってしまう未練と、願望の暴走**。

 この作品では、ミーノスが自分の過去を振り返り、アルバフィカに向き合いながら、「自分という存在の立て直し」に向かって歩き出す過程を描きました。

  

なぜこのミーノス像が刺さりにくいのか?

 正直に言えば、こうした「崩れて再構築される攻め」という構造は、SNSではあまりウケが良くありません。理由は明確です。

  • パッと見で魅力がわかりにくい(完璧な彼氏に見えない)
  • 読者に感情的な“負荷”を強いる(付き合わされる感がある)
  • 「攻めが理想化されていて受けを溺愛する」という型と正反対

 特に、**受けのアルバフィカが「感情移入先」ではなく「他者性」**になっているため、読者が「自分が愛される」幻想も抱けないのです。

  

神話的構造としての「ミアルバ」

 気高く、美しいアルバフィカは、ただの恋愛相手ではありません。
 彼は「変化のきっかけ」「打ち砕かれる鏡像」であり、
 ミーノスという強く傲慢な男が人間になるための試練です。

これは、以下の物語構造と重なります:

  • 美女と野獣』:野獣が愛を通じて人間に戻る
  • 嵐が丘』:愛によって魂がねじれる物語
  • グレート・ギャツビー』:幻想の愛に溺れ、破滅する高スペック男

 私の描くミーノスは、「愛に負けた男」であり、その敗北を経て、ようやく愛する資格を手に入れようとするのです。

 特に『美女と野獣』は、私のミアルバに通底するイメージです。

  

イラストに込めた「再構築の瞬間」

 この記事のトップ画像は、私が描いた横顔のミーノスです。
 これは、まさに「プライドの高い男が、うつむいて自分を見つめ直す姿」を描いたものでした。

  • 伏せた睫毛と沈黙:外に向けていたまなざしが、初めて内側に向く。
  • 髪と影:高貴さは失われていない。でも、影は深くなった。
  • 強さと悔恨の同居:静かさの中に情動の余熱が見え隠れする。

 この一枚に、「変容を受け入れよう」とする一人の人物をイメージしました。

  

おわりに

 こうして振り返ると、改めて私の描くミアルバは、確かにわかりにくい構造です。
 でも、「変化を受け入れたい」と願う者の物語は、うまく書ければ王道です。

 強くていけすかない男が、自分の持つ力では手に入らない存在によって変化を迫られ、
 打ち砕かれ、初めて“変わりたい”と思うようになる。

 そしてこの物語、現実ではまずあり得ません。起こったら奇跡。そのくらい、人が変わるというのは困難です。だからこそ、物語たり得ます。

 ──それが、私にとってのミーノスの魅力であり、ミアルバというカップリングの持つ、他でもない魅力です。

 これをうまく書くのは難しいですが、それだけに、関心の付きない主題だと思っています。

  

 あまがいの二次創作小説リンク
👉あまがいの作品は、次の創作SNSで全文無料で読むことができます。
 Pixivはミアルバ中心、Xfolioはさまざまな創作を展示しています。

 Pixiv (長編のミアルバ小説ほか)
 Xfolio (ミアルバと、他の聖闘士星矢二次創作)

  

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