12万字は「4万字の3倍」と考えてみる
「4万字は小説を書く人の大きな壁のひとつ」という言葉を、その昔は「100枚の壁(400字詰め原稿用紙100枚=4万字)」と言っていました。
そして、この「100枚の壁」を超えたその次が「300枚(400字詰め原稿用紙300枚=12万字)」の壁というものです。
何故これが「壁」かというと、「長い話を書く」ということを困難に思う小説練習者が多いからですね。私自身は、100枚にはそれほど難しさを感じませんでしたが、300枚はちょっと苦労しました。ただ、私は長い間「勘で書く」しかできず、人に「どうやって書いたか」を全く説明できないタイプでした。それが、最近、この「どうやって書いたか」を説明できる気がして来たので、ついでに「長く書く」の理屈を書き出してみようと思います。
ちなみに、私が300枚書いたのは習作としてのオリジナル小説です。オリジナル小説の書き方はたくさん本が出ているので、ここでは「二次創作小説として300枚書く」を解説しようと思います。
タイトルで示していますが、これは「100枚書けるようになったら、300枚書ける」という解説です。ということは、100枚も分割すれば33枚の3倍なので、33枚(1万3千字)書ければ、理屈上は300枚書けます。
「1万字長え」という人は、11枚(4,400字)書ければ300枚書けます、という話です。
これ、どういう話か大体予想が付いて来たでしょうか?
なお、実際は原稿用紙のマス全てが文字で埋まることはないので、昔の「100枚」「300枚」は字数換算するともう少しボリュームが減るとは思います。まあでも大して変わらないので「4万字」「12万字」とします。
そうです、三幕構成の脚本の書き方で書くのです
と言いつつ、私も脚本の書き方はほんの聞きかじりです。書いたことも習ったこともありません。ですがおそらく、この「三幕構成」はひじょうに応用しやすい話の作り方です。
では、早速私の推しである、「ミーノスとアルバフィカの恋愛物語」を事例として、この三幕構成を使って12万字分の話を組み立ててみましょう!
三幕構成とは
第一幕:設定
第二幕:葛藤
第三幕:解決
上記の「設定」「葛藤」「解決」という枠組みで話を考える方法です。
設定:登場人物の紹介、および、登場人物たちの状況の説明
葛藤:登場人物たちに何か事件や出来事が発生する
解決:事件や出来事が解決する
いわゆる「起承転結」のようなものを、三段階で組んだものだと考え見てください。
では、実際にこの枠組みに話を入れ込んでみましょう。
ミーノスとアルバフィカの恋愛小説の事例
第一幕:設定 4万字
ミーノスとアルバフィカが交際を始める
第二幕:葛藤 4万字
交際し始めたが、2人はケンカして別れそうになる
第三幕:解決 4万字
ケンカしたけど、仲直りしてハッピーエンド
はい、12万字できましたね。
「交際を始めるまでで4万字何を書くんだ!」と思った場合は、こうします。
第一幕:設定 4万字
第一章 設定 13,000字
冥界三巨頭のミーノスが、聖域のアルバフィカと出会いました。
ミーノスは感じが悪いので、アルバフィカ側の印象は最悪。
でもミーノスはアルバフィカに一目惚れ。
葛藤 13,000字
ミーノスはアルバフィカに鬼電。アルバフィカは無視。
しかし、ある時突然、電話が一切来なくなりました。
気になったアルバフィカは、ミーノスに会いに行ってしまいます。
ミーノスは病気で寝込んでました。
介抱したら病気をうつされて今度はアルバフィカが寝込みます。
解決 13,000字
ミーノスは感じの悪い男でしたが、看病はとても丁寧で親切。
アルバフィカはミーノスを見直しました。
アルバフィカは回復後、ミーノスの交際の申し入れを受けることに。
そうです。
入れ子にしていくのです。
もうわかりましたね。
上記のあらすじの、例えば「第一章の葛藤編の内容で13,000字書くのは難しい」と思ったら、それをまた3分割するのです。
三幕構成をガイドラインとして使う
要は、この「設定」「葛藤」「解決」を話の展開のガイドラインとして使う方法です。
ガイドラインに添って仕上げる事が目的ではなく、手段としてのガイドラインです。
なので、話が進んできたら、ガイドラインを逸脱しても構いません。行き詰まったり、迷ったら、また三幕構成のガイドラインを当ててみる。そのような使い方を意図しています。
二次創作小説で12万字規模を書きたい人がいるのかはわかりませんが…。
まあ書き方の案として。
いかがでしょうか。書けそうだと思ってもらえたらさいわいです。