十数年ぶりのBLの困難
漫画(LC3巻)を読み、ミーノスとアルバフィカの話を把握し、ついでに外伝1巻と外伝3巻も読んでミーノスと激突する聖戦までのアルバフィカの側面も知り、これでもうやるべきことは終わった……。
しばらくそんな気持ちでした。
外伝3巻にも、「薔薇がなくても拳で戦う」それはそれは戦闘に長けたアルバフィカさんのお姿があるので、「女みたいだから弱い」と、実質蔑まれてきたも同然だった魚座の民としての心はとても癒やされたのでした。
満足。
そのときは、もうそれ以上何かしようという気持ちはなかったのでした。
もういつ以来かも思い出せないくらい久しぶりのBL幻覚を、楽しく味わった、という程度でした。
当時は二次創作しようという気持ちもなかったのでした。
もっというなら、もう創作自体しなくなって久しかったのです。どうやって話を考えるのかも忘れていました。
ところが、年が明けて2024年。
この2月にたまたま自由な時間ができたのでした。
その頃、私はいろいろと激しいストレスを抱え、いわゆる「楽しい」と思えることがことごとく何もない状態でした。そんなメンタルの状況で、2月が空いたので。久しぶりに何か創作してみよう、そして完成させてみよう、と、思い立ちました。
何を題材にしようか迷って……。
一次創作という手もあったのですが、手っ取り早そうなのは二次創作でした。
二次創作といえば、もう題材はミーノスとアルバフィカしかないなと。
そして二次創作小説を書こう、ということに。
書くことが、ない……
私の創作歴はほぼPixivの投稿歴と連動しているので、2018年5月に書いた一次創作がほとんど最後。最後の二次創作はその3年前で、それ以前の二次創作は一体いつ何を書いたのか覚えていない。
今回はどうやって書いたものか、原作(LC3巻)を何度も読み返しながら、でんぐり返って悩みました。
ついでにいうと、BL自体最後に読んだのがいつかも覚えていない。15年近く前のことかもしれない。
BLを読む家族にBLの書き方について相談したところ、森茉莉および栗本薫ファンの家族は、森茉莉『恋人たちの森』(新潮文庫)を紹介してくれました。
本当は栗本薫の『真夜中の天使』(文春文庫ほか)もご紹介にあずかったのですが、栗本薫のBL作品はすでに何作か読んでいるので今回は触れず。
森茉莉の『恋人たちの森』については、別項でいつか触れるかもしれません。
とりあえず、この小説を読んで思いついたのは「独自の美的な世界観を表現する」というBLのイメージでした。
私は森茉莉の美的感覚がそれほどツボではないのですが、彼女の創作世界が彼女独自であり、彼女にしかつくりだせないものなのはよくわかりました。
森茉莉のようにはとてもとてもとてもとてもとても…書けないですが、せっかく「耽美もの」の異名を取り続けたBL小説に取り組むのです、「美しきなにか」を主題にしたい、と。
主題はなんとなく決まり、次はお話(あらすじ)ですが。
これまた、何度原作漫画を読んでもこの二人の話がこれと言って思いつかない。原作でもう十分描き尽くされているような気もする。
あと、寂しいことを言うと、原作を読めば読むほど、ミーノスて人は、結局自分のプライドが何よりも大事な性格に思える。この人の死に際は、自分を負けに追い込むものを道連れに、全て滅ぼすという怒りがあった。
強烈に我が強い。
この人、美しさとかにひれ伏さないでしょう、アルバフィカを揶揄してからかい続けていただけでしょう、というのは、薄々わかってはいたのだけど。
でも、そこさえ無視してしまえば、いけるなあ……、という欲望が勝ち。ミーノスのラストシーンは見なかったことにして、せっせと話を考えた。
というより、「美しきなにか」を主題にすると決まった時から、「美そのもの」の話にしようとなんとなくイメージができあがってはいたのでした。
こんなかんじで、私はミアルバ小説第一作『Beauty and the Griffin』を思いつきました。