私が初めて「癒しのパン」に興味を持ったのは、青山のマフィン中心の焼き菓子店A.R.I(エーアールアイ)でした。
A.R.Iは2017年に惜しくも閉店されたとのことですが、私のパンへの関心を高めてくれた忘れられないお店です。
お店を知ったきっかけは、ある有名人のブログでした。
毎朝表参道で飼い犬のポメラニアンのお散歩をして、お気に入りのお店でスイーツをひとつ買って帰宅し、一日の激務に備える。
その頃の私は、料理雑誌の編集者を経て、表参道のレストランに関心が高まっていました。
同じ街のおいしいお店、しかもバリバリに働いている有名人が選んでいるスイーツ。また、この有名人ブロガーさんは、激務で体調を崩しがちで、健康意識もとても高かった。早起きして、愛犬と触れ合い、いい素材を使ったいい食事を取る事。それを初めてから、心身の調子が安定したと書かれていました。私は印象深かった内容です。それが働きながら生活するために、とても大事なポイントだと思ったから。
いろんなお店がブログに登場しましたが、私が特に興味を惹かれて早速向かったのはA.R.Iでした。
写真を見ると、チェリーやチョコといった素材の様子がわかるように練り込まれているマフィンだったので、すごく体に優しそうな感じがしたのです。
お店はビルの2階。扉を開くとナチュラル系の雑貨屋さんのような雰囲気。雑貨コーナーと焼き菓子、マフィンがお店の中にあるのは、ヨーロッパのお店のようです。一気に別世界。
平日の事は忘れて、目の前の非日常に心を奪われました。
マフィンは、生地がカップから溢れるようにふんわり広がって、自然の植物みたいな美しさ。
表面に見える果物や野菜の具材も楽しい彩りを添えています。
焼き色も、深いもの、白さを残したもの、自在です。
どれにしようか迷った末に、2つくらい買ったでしょうか。
いい香りのテイクアウトを抱きしめながら帰宅し、待ちきれない思いでテーブルにつき、一口分をちぎって頬張ります。
サクサクした皮と、ふんわりした中の生地。果物の具材の甘み。
一口で幸せな気持ちになりました。
「リテールベーカリーは本当に美味しい!」
それを印象付けてくれた思い出です。
・食べると幸せな笑顔に
・日常を忘れさせてくれる
・いつもより、ちょっといいもの
A.R.Iのマフィンは、その後に繋がる私のパンへの思いを開いてくれました。
↓A.R.I 森岡梨さんのご本